吉村順三 作品

軽井沢の山荘/吉村別荘 森の中の家

長野県北佐久郡旧軽井沢町/昭和37年(1962年)
1階 鉄筋コンクリート造、2階 木造 2階建 延床面積:87.7㎡ *増築部を含まず

吉村順三を代表する作品のひとつで、自身が家族や事務所所員と過ごすために建てた自邸(山荘)。鉄筋コンクリート造のボックスの上に7.2m角の正方形のコンクリートスラブを乗せ、その上に木造の2階部分と片流れ屋根と屋上の露台を載せている。楡と椚の林に囲まれ、宙に浮いているかのように外に開かれた居間を中心に、居心地の良い空間が7.2m角の正方形の中に、その3分の1の2.4mの寸法を軸にコンパクトにまとめられている。森の中に佇める簡素ながらも周辺の自然と呼応した豊かな空間が広がる珠玉の名作。

1.2:外観 3.4:内観
 

軽井沢の山荘/脇田邸(現・脇田美術館)

長野県北佐久郡旧軽井沢町/昭和45年(1970年)
1 階 鉄筋コンクリート造、2階 木造 2階建 延床面積:219.2㎡

軽井沢の林の中に建てられた洋画家・脇田和のアトリエを備えた住居。湿気の多い地面を避けて1階部分を鉄筋コンクリート造、木造の2階を主階としている。曲がったプランにより、自然の木立に寄り添うように庭とも一体となった内外空間が溶け込む住空間が実現されている。暖炉のある居間、コーナーに設えられたダイニング、渡り廊下で繋がれたアトリエなど、居心地の良いシークエンス豊かな空間が連続している。

6:内観 5.7:外観 撮影:古川泰造
 

自由が丘の家/旧園田高弘邸

東京都目黒区/昭和30年(1955年)
木造 2階建 延床面積:77.0㎡

日本を代表するピアニスト園田高弘氏の練習場を兼ねた自宅として垂木構造大壁・真壁併用で建てられた小住宅。グランドピアノの連弾が出来るように吹き抜けを持つ大きな気積の音楽室、アルコーブに設えられた暖炉を囲む天井の低い居間、音楽室を見下ろす緩やかな階段に続く寝室と書斎など、戦後の混乱が未だ残る中、簡素な素材で建てられた中にも極めて豊かな空間が広がっている。

右左:内観 撮影:齋藤さだむ
 

南台の家/吉村順三自邸

東京都/昭和32年(1957年)
木造 2階建 延床面積:170.6㎡

吉村順三が3人家族とお手伝いのために建てた自邸。南側に庭と池を設け、全ての居室が南に面している。採光・通風に有効な吹き抜けのある台所、家の中心に置かれた食事室、可動間仕切りで仕切ることのできる居間とピアノ室など、簡素な素材を使いながら家族と過ごす豊かな空間が続いている。洋室を含め開口部には柔らかい光を取り入れる障子が設えてある。

左:外観 撮影:石井 章/右:内観 撮影:荒井政夫(1957)
 

浜田山の家

東京都杉並区浜田山/昭和39年(1964年)
1階 鉄筋コンクリート造、2階 木造 2階建 延床面積:92.8㎡

井の頭線沿いの住宅密集地の中で南側の庭と日照を最大限に確保するために、鉄筋コンクリートの大きな跳ね出しの上に居住部分を片流れの木造で乗せた住宅。室内の壁・天井・家具・建具枠などを全てラワン材の素地仕上げとしながらも、傾斜のついた天井などの工夫により豊かな空間となっている。さらに、屋根上の太陽熱利用集熱器を併用した温水ボイラーで床暖房と給湯を行ったり、屋根裏を収納に活用するなど、コンパクトに住む工夫で広々とした住空間を確保している。

左:外観 右:内観 撮影:荒井政夫(1965)